「でもくしゃみ連発しちゃうから傘差してると危なくて。ほら、目も瞑っちゃうし傘も動くじゃん。それで朝も電柱にぶつかりそうになったんだよね」
先輩はどうやって帰ろうか難しい顔で悩みはじめた。
そもそも傘差し運転は禁止されてるし、自転車の時はカッパを着用と学生手帳に書いてあった。
けれど、それを言ったところでまた『真面目だね』なんて、言われてしまいそうだからやめておこう。
「じゃあ、なつめちゃんが後ろで傘を差してあげたらいいんじゃない?」
詩織先輩が唐突にそんなことを言い出した。
「いやいや、そしたらなつめが濡れるじゃん。それに帰りどうすんの。俺が送っていったら同じじゃない?」と、なぎさ先輩が言い返すと……。
「でもなつめちゃんが三上先輩の家を見たいと思って」
し、詩織先輩!?
私はなんてことを言うのだろうとあたふたとするだけ。詩織先輩は平然としてるし、なぎさ先輩は何故か私の顔を不思議そうにじっと見てくる。
「え、なつめ。うち見たいの?」
「い、いや、その……」
詩織先輩に助けを求めても知らん顔。でも意地悪で言ったというより、あの会話が原因な気がする。



