心にきみという青春を描く







それから数日が経って、私は先日スケッチした桜の色づけ作業をしていた。 


今日は朝からぽつぽつと雨が降っているから詩織先輩と「満開の時にスケッチできてよかった」と話しているところだ。


「なつめちゃん。色の濃淡は水の量で調節するのよ。形どおりに塗らなくても、大胆にはみ出たりするとけっこう味わい深い絵になったりするから」

「こんな感じですか?」

「うんうん、上手!」


色えんぴつで下書きした桜は詩織先輩のと比べるといびつだけど、毎日絵を描いているおかげか最近は上達してきたと思ってる。


「なあ、ちょっと毒を吐くような性格で、顔は和美人、髪型は黒髪のストレートのキャラクター描いてみて」

「面倒だからイヤです。っていうかそれ笹森先輩がモデル――」

「ゴホン、ゴホンッ!なんかここ乾燥してね?急に喉やられたわ」 

「………」


別の机でなにやら騒がしくしてるのは松本先輩と天音くん。見てのとおり、天音くんはあれから部活に来るようになった。

相変わらず意地っ張りだけど、前よりはずっとコミュニケーションを取ってくれている。


松本先輩のリクエストは却下されているけれど、実はノートの表紙にとっても可愛い女の子を私は描いてもらった。

英語が苦手で、ノートを開くだけで気が滅入るのでダメ元でお願いしたら、すんなりとオッケーしてくれたのだ。


そうやって徐々に変わっていこうとしている天音くんとも、楽しい部活の時間を一緒に過ごせたらいいなと思っている。


やっと部員が五人揃って美術室はより明るくなったというのに、ひとりだけ様子のおかしい人が……。



「……へっくしょんっ!」

さっきからくしゃみを連発しているなぎさ先輩だ。