心にきみという青春を描く




次の日。私は早めに学校へと登校した。


校舎へと続く運動場ではテニス部やサッカー部が朝練習をしていて、野球部の一年生はすでに先輩たちから息もつかせぬノックをさせられていた。

身体を動かすのは得意じゃないので、初めから運動部は頭に入れてなかったけれど、やっぱり文化部と違って厳しそうだ。


昇降口を抜けたあと、私は自分の教室である1年1組には行かずに三階の東側の部屋へと向かう。


足を止めたのは美術室の前。

昨日は自己紹介だけで終わってしまって、美術室を見渡す暇もなかったから放課後の部活の前に確認しておきたいと思ったのだ。


鍵がかけられている可能性は高かったけれど、ドアに手をかけると、すんなりと開いて、また眩しい西日。

誰もいないと思ったのに、中には昨日と同じ場所でなぎさ先輩が絵を描いていた。


「あれ、どうしたの?」

先輩が筆を止める。また邪魔してしまったかもしれないけれど、それ以上に気になることが……。


「もしかして朝練習あるんですか?」

昨日は先輩たちの雰囲気に飲まれてしまって話を聞いていない部分もあったし、朝練習についての説明があったかもしれないと心配になった。

すると、私の気持ちとは裏腹に、「はは、ないない」となぎさ先輩に軽く笑われてしまった。


「じゃあ、どうして先輩はこの時間に?」

「放課後より朝のほうがゆっくり描けるからかな。ほら、うるさいのもいないし」

たしかに美術室はとても静かだった。


運動場からは離れている場所だから窓を開けていても、聞こえてくるのは鳥の鳴き声ぐらい。

空気中に漂う埃(ほこり)がキラキラとしていて、桜並木の甘い香りが美術室に入ってくる。