心にきみという青春を描く



「天音くんにも漫画にも触らないで」

言いながら声が震えた。でも、知らん顔することなんて私にはできなかった。


「は?だれ?」
「今度は真面目なキャラきたよ」

一気に視線は私のほうへ。


「っていうか、ふたつ結びとかだせー」

男子たちは私のことも笑ってきた。そしてじりじりとこっちに近づいてくる。

どうしよう、怖い。でも逃げたくない。


「だせえのはお前らだろ」

……と、その時。私をかばうような声が聞こえた。

振り向くと、そこにいたのは松本先輩。


「影でこそこそと本当にダサいわ。しかも女の子相手に詰め寄ろうとするなんて情けない」

それに、詩織先輩も。私からのメッセージが途切れたから心配して見にきてくれたのかもしれない。


「お前ら天音のこといじめてんだろ?」

松本先輩がギロリと睨む。


「は?いや、いじめてねーし。俺ら中学から仲良しだもんな?」と、男子は天音くんの肩を叩く。天音くんはさっきからずっと黙ったまま。


「いじめかどうかはあなたが決めるんじゃなくて、周りが決めるのよ」と、詩織先輩。

「私、優等生だから先生たちには顔が利くの。隠れてやってるってことは少なからず学生生活を棒に振る気はないんでしょ?」

「……は?な、なに言ってるかわかんねーし」

「卒業まであと二年。陰湿なことをしてた生徒って印象づけられないほうがいいんじゃない?」


そう言うと、男子たちの顔色が変わって天音くんから距離をとりはじめた。


「い、行こうぜ。なんか面倒なことになってきたし。俺らただ暇つぶしで天音のこと構ってただけだしな」と、慌てて逃げていった。