体育館の非常口の段差の部分に天音くんは座っていた。
そこにはファイルに入れられた原稿用紙。それを一枚一枚、見直していたようだ。私が声をかけようとした瞬間、別の方向からぞろぞろと男子がやってきた。
「お前、こんなところに隠れてたのかよ」
男子の中でも威張っているのは、やっぱり天音くんからお金を取ろうとしていた人だった。
「ってか、まだこんな気持ち悪い漫画描いてたんだ」と、視線は原稿用紙へ。
大事な原稿のはずなのに乱暴にファイルから抜き取って、それを仲間たちへと回す。
「見て。オタクが好きそうなロリキャラ」
「ぶっ、やべー。魔法のステッキで変身とか言ってる!腹痛い!」
「こんなのが趣味なの?もしかして自分で描いて自分で興奮とかしちゃってる?」
ケタケタと高笑いする男子たちの声が響く。
「か、返して……!」
天音くんが必死で奪い返そうとするけれど、あっさりと交わされていた。そして……。
「こんなの描く暇あったらバイトでもして俺らに金貸せよ」
ドンッと男子は天音くんの胸を押す。
その反動で漫画はバラバラと地面に落ちて、わざと男子は泥のついた靴で踏みつけた。
「なあ、俺とお前は中学からの仲だろ?明日までに二万持ってこいよ」
ぐりぐりと足で漫画を何度も踏んで、他の男子たちはその光景を見て笑っている。
「どうせなら燃やしちゃおうぜ」と、漫画を手にしたところで「やめて!」と私は声を出した。



