心にきみという青春を描く




その日の放課後。今日も美術室には四人が揃ったけれど、天音くんは部活に来ない。


「あー俺もパシられてんの見たよ。天音がなにも言わないなら付け上がってんだろ、あいつら」

今日は部活そっちのけで天音くんのことについて話し合っていた。

松本先輩は乱暴に俺が一発殴ってきてやろうかと言い、詩織先輩はやっぱり先生に報告すべきだと言う。 どれも間違いではないけれど、なかなか意見がまとまらない。

そんな中で、なぎさ先輩だけが参加せずに絵を描いていた。


「先輩も少しは考えてくださいよ」

私はその丸まった背中に声をかける。すると床に這うようにして筆を動かしていた手がぴたりと止まった。


「俺らがどんなに考えても、芦沢がどうしたいのか分かんないじゃん」

「でもこのままじゃ明日もイヤなことされるだけですよ」

するとなぎさ先輩は「うーん」と天井を仰ぐ。


「じゃあ、迎えにいく?」

「……え?」

「どっかで漫画描いてるかもよ」

私たちはみんなで顔を見合わせて、天音くんを探しにいくことにした。


手分けしようと詩織先輩は三階、松本先輩は二階、なぎさ先輩は一階で、私は中庭を中心に外を探していた。

随時メッセージでやり取りをしながら、次々と届く先輩たちの報告。どうやら三階と二階にはいなかったようだ。


こっちも中庭にはいないし、食堂も一応確認したけど鍵がかけられていて中にすら入れなかった。……あとは体育館だけ。

もしかしたら今日は帰っているかもと諦めながら、体育館の通路を歩いていると、なにやら声が聞こえた。

それは体育館の裏手からだった。