心にきみという青春を描く




「詩織先輩……。もしかしたら天音くん、いじめられてるかもしれないです」

どこまでをいじめと判断していいのか曖昧だけど、明らかにイヤなことをされてるのは事実。

あれ以降、気にかけてはいたけれど、天音くんを取り巻いている人たちは教室に迎えにきて、必ずどこかへと連れ出す。

そうやって人目のつかない場所を選んでは天音くんにひどいことをしてるのだと思う。


「同じクラスだっけ?声はかけてみた?」

「はい。でも関係ないだろって言われてしまって……」


そうやって拒絶されると天音くんは困ってないのかなと錯覚してしまいそうになる。

でもコンビニまでお菓子を買いに走らされてるなんて……。やっぱりどう考えても友達とは呼べない。


「本人が突っぱねてる内はなにをやってもダメかもね。いじめが分かっても芦沢くんをずっと守ってあげるわけにはいかないし、いじめる人はズル賢いから隙を見てまた繰り返すよ」

「……そうですよね」


根本的な部分を解決しないと完全にはなくならない。

天音くんは関係ないと言ったけれど、私はこのまま放っておくことはできない。


深い接点があるわけじゃないし、知り合って間もないし友達でもない。けれど一年生で美術部に入ったのは私たちだけだし、6クラスもあるのに同じクラスになった。

これを縁と言ったら大袈裟かもしれないけど、天音くんがイヤことをされてるのに、私は見過ごすことなんてできないから。


詩織先輩はそのあと、「私もなにか対策を考えてみるわ」と、言ってくれて、昼休みが終わった。