どうやら松本先輩のお家は画材店らしい。詩織先輩は用事があるからと駅で別れて、私たちは電車に乗って松本先輩の家に向かっていた。
「俺、電車に乗るとすぐに眠くなっちゃう」
なぎさ先輩が隣であくびをしていたけれど、ウトウトする時間もなく三つ先の駅で降りた。
改札口を抜けて徒歩で10分。古風な店構えの建物が見えてきて、たしかにそこには【松本画材店】と書いてある。
「とりあえず先に中入ってて」
松本先輩はそう言って裏手にある自宅へと続く細道に歩いていく。
なぎさ先輩は何度も訪れたことがあるのか「こんにちはー」と軽い挨拶をしながらお店のドアを開けた。
「お、なぎさくん。いらっしゃい」
正面にあるレジにはひとりの男性が座っていた。
「どうも。えっとなつめ、この人は……」
「松本先輩のお父様ですよね?」
「うん。なんで分かるの?」
分かるもなにも顔がそっくりだもん。こんなに遺伝子が引き継がれるのかってくらい似ていて、大人になった松本先輩がそこにいるかのよう。



