心にきみという青春を描く



「なつめの口は頬っぺたに付いてるの?」

「ひゃっ……」

気配もなく後ろからひょっこりとなぎさ先輩が顔を出すからおかしな声が出てしまった。どうやらリップを頬に塗っているところを見られていたようだ。

「だって先輩が――」と、言いかけて。むにゅっと私はなにかを踏んだ。足元を見るとそこにはキャップが開いたままの絵の具。


「……わわっ」

当然、中身の青色が出てしまい、私の上履きの裏と床にはべちゃりと絵の具が広がってしまった。


「なつめちゃん、どうしたの?」

異変にいち早く気づいた詩織先輩が声をかけてくれた。


「絵の具を踏んでしまいました……」

おそらく新品だったのか、かなり中身の絵の具の量が残っていて、それが全部出てしまった。

「あら、その絵の具って三上先輩のじゃない」

……え。私はおそるおそるなぎさ先輩の顔を確認する。先輩は苦笑いをしながら「ごめん。俺が床に置きっぱなしだったから」と、謝ってきた。