心にきみという青春を描く




「お前がいつも逃げるからだろ!」

「暑苦しいの嫌いなんだよね」

「暑苦しいとはなんだ!」と、また大きな声が返ってきてビクッとしていた私に、なぎさ先輩が優しくフォローしてくれた。 


「ごめんね。ビックリするよね。この人も一応、美術部だよ。見た目は運動部っぽいけど」

たしかに身体が大きいから文化部らしくない。


「もしかして新入部員?」

「そうです」

「まじか!きみを待ってた!」

ブンブンと振り回すように握手をされて、私は完全にペースを崩されていた。


多分、この人も先輩。ということは、まさか部員はこの三人だけ?しかも男子ばっかり?

不安になっていると……「あら」と、髪の長い女の人が入ってきた。手にはスケッチブックを抱えてきて、きっと美術部の人に違いない。

女の人もいて、安心したのも束の間に……。


「松本先輩、邪魔。三上(みかみ)先輩は三日ぶりですね。ついに幽霊部員のひとりになったのかと思いましたよ」

すらりとした手足と、小さな顔はまるでモデルさんみたいなのに、発する言葉には少しトゲがある。


「俺、先輩なのに邪魔はひどいだろ?」

「そのでかい身体が役にたったことあります?美術室の棚が上を掃除してって言っても、すぐに言い訳してやらないじゃないですか」

「お前がいつも忙しい時に言うからだろ!」

「手よりも口が動く男ってモテませんよ」

そんなやり取りに圧倒されていると……。


「はい、ストップ。貴重な一年生がこのままだと逃げちゃうよ」と、なぎさ先輩が止めてくれた。