「おはようございます。起こさないようにしたつもりだったんですけど」
「起こされてないよ。勝手に起きたの」
「ふあ……」と、あくびをしてる先輩は本当に眠るのが好きなようだ。こんなに気持ちよさそうなあくびをされると、こっちまで移っちゃう。
「美術室の匂いって、なんか眠くならない?」
「そう、ですか?」
リラックスしたりすると眠りを誘発したりするらしいし、先輩にとってここはそういう場所なのかもしれない。
「先輩って可愛い顔して寝るんですね」
「えーそうなの。自分じゃ分かんないけど、逆に怖い顔して寝てる人なんていなくない?」
先輩はそう言いながら棚からひょいっと降りた。
今日の先輩のパーカーの色はスカイブルー。明日は何色を着てくるのかな。予想するのもなんだか楽しい。
「先輩は本当に絵を描くのが好きなんですね」
「んー、なんで?」
「だって寝言を言ってましたよ。あおって」
すると、画板を手に取ろうとした先輩の動きが止まる。
さすがに寝言まで聞いてしまったのはまずかっただろうか。



