「今日は後ろ乗っていかなくていいの?」
部活が終わったあと、なぎさ先輩が駐輪場から自転車を持ってきた。
「はい。今日はまだ空が明るいので」
というか、さすがに二日連チャンは申し訳ない。聞いたところによると、やっぱりなぎさ先輩の自宅は私の家と反対方向だったみたいだし。
「そっか。じゃあ、気をつけてね」
「先輩も」
なぎさ先輩は自転車を漕ぐ時まで猫背。正門を抜けてなぎさ先輩の背中が見えなくなった頃、校舎からひとりの男子生徒が出てきた。
それは暗い顔をしている天音くんだった。
天音くんは今日の部活に来なかった。昨日のことが気まずかったのかもしれない。
てっきり帰ってしまったと思っていたけれど、もしかしたらどこかで漫画でも描いていたのかな。
「天音くん」
私は声をかけた。



