「友達いたほうが楽しいよ。まあ、ああやって付き合う人を間違えると苦労することになるけど」
天音くんのことを言ってるんだって分かった。
「ってことで、俺となつめちゃんはいい友達になろうぜ」と、松本先輩がおもむろに立ち上がる。
「と、友達ですか?」
「そう。だから困ったことがあったらなんでも頼ってよ」
差し出されている右手。そっと握ると先輩はニカッと笑って、初対面の時のように握手したままブンブンと手を上下してきた。
友達……友達かあ。
嬉しさを噛み締めていると、私たちの横を笹森先輩が通った。
握手してる手をじっと見つめたあと、「セクハラ」と松本先輩にため息。
「ちげーよ!これは友情の証なんだよ!」
「はあ……。月岡さんもダメよ。イヤな時は断らないと。自分で言えない時はすぐに私に連絡してちょうだい。守ってあげるから」
「だからさー」
ふたりのやり取りは本当に面白い。
美術室にある様々な絵の具のように、私の世界も少しずつ色づいていく感覚がした。



