心にきみという青春を描く



「どう?」

「すっごく美味しいです……!」


日陰になっているベンチで、私はたぬきうどんを啜る。昼食抜きも頭によぎったせいか、より一層味を噛み締めていた。


「本当にありがとうございました。おかげで午後の授業も乗りきれそうです」

隣では松本先輩もカツ丼を頬張っている。


「今度買う時メッセージ送ってよ。俺ほぼ毎日学食だし、早めに言ってくれれば人気のやつ取っておけるからさ」

「本当ですか?助かります」

正直、学食は値段が安いだけだろうと思っていたけれど、たぬきうどんのクオリティがこれならば他のメニューも相当期待できる。

お弁当作りが面倒な日は利用してみてもいいかもしれない。


「なつめちゃんは、なん組?」

「一組です」

「あ、俺も一年の時そうだった」

最初は怖いイメージがあった先輩も、話してみるととても気さくでいい人だ。


「松本先輩はなぎさ先輩と同じクラスですか?」

「違うよ。俺二組で、アイツは五組」


なぎさ先輩って教室だとどんな感じなのかな。

バカ騒ぎをするタイプでもないし、リーダーシップがある感じでもない。私のように地味なポジションにいなくても、なんとなくなぎさ先輩は群れずに常に寝ていそうなイメージだ。


「アイツいつもぼんやりしてるくせに、女子からモテるんだよ。なんでだと思う?」

私に聞かれても回答に困る。


でも私はなぎさ先輩がモテる理由が分かる気がする。


先輩を見てると、どうしてか目が離せない。

洋服に絵の具がついていても気づかないし。だけど面倒見がいいところもあって、しっかりしてる部分もある。

ひとりにしてほしいというオーラを出している時もあれば、すぐ隣にいたりして。

そういう気まぐれなところが本当に猫みたいで、先輩の魅力に惹き付けられてしまうのだ。