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それから夏休みが明けて二学期がはじまった。
洗面所の鏡の前できゅっと髪の毛をふたつに結ぶ。一度くらい違う髪型にしようと思ったこともあるけれど、やっぱり私はこのスタイルが気に入っているのだ。
「いってきまーす!」
私は元気よく家を出た。
まだ夏の香りが残る桜並木の道。満開に咲いていたこの道を通ったのが半年前。
それから数えきれないくらい楽しいことや苦しいこともあった。桜が散って青々とした色に変わった並木道は今、紅葉の季節を迎えようとしている。
運動部員たちの朝練を横目に私は校舎の中へと入った。静寂に包まれている廊下を進みながら私は美術室に向かう。
なぎさ先輩が秀作賞をもらってから今日で1か月。
あれから季節が移り変わるように私たちも色々と変わった。
最優秀賞を獲った日向くんはなんと県知事から表彰状をもらい、授賞式の様子は新聞にも取り上げられた。
一躍有名人になってしまった日向くんに、対抗心を燃やしているのは松本先輩。美術のジャンルは違っても、どうやら『素敵な絵』と詩織先輩が褒めたことに焼きもちを妬いているようだ。
そんな詩織先輩と松本先輩は先日、6月の美術展で約束したデートに行ってきたらしい。
松本先輩はメッセージスタンプを連打してくるほど嬉しかったみたいだけど、詩織先輩はカフェでお茶をしただけだと言い通していた。
さらに、一番変化したのは天音くん。
天音くんはなんと、以前投稿した漫画の結果が良くて、担当編集がついたのだとか。
けれど美術のコンクールにも積極的に参加していくようで、時間を効率的に使いながら両立させている。



