心にきみという青春を描く





作品の完成を楽しみにしてると言ったのは嘘じゃない。

先輩の心に大切な人がいても変わらずに愛しく思ったのも嘘じゃない。


けれど、私だったらよかったと何度も考えた。


先輩が何時間も何日も費やして完成させる人物画が、私だったらどんなにいいだろうって。

先輩の心の半分でもいいから、私を傍に置いてくれたらどんなに幸せだろうと思った。


思っただけ。

思うことは自由だから、口には出さずに願ってた。



「違うよ。俺はなつめを描いたんだよ」


ねえ、分かってますか。


こんなことをされたら、私は我慢できなくなる。先輩のことをもっと好きになって、贅沢になって、困らせることを言ってしまうかもしれない。

だから、自分で歯止めをかけていたのに……。


本当に分かってますか。先輩。



「どうして私を描いたんですか?ちゃんと教えてください」


私は単純だから勘違いしてしまう。先輩のことをずっと考えてるくせに、先輩の考えていることがちっとも読めなくて分からない。

……言葉にしてくれなきゃ、なんにも分からない。