私の動揺とは真逆に、先輩は作品の横の書かれていた賞に目を向けた。
「秀作賞か。あんまり賞は意識しなかったんだけど、みんなの期待ぐらいには応えられたかな」
賞はすごいです。でも、私が聞いているのは別のこと。
「あ、さっき日向が取材されてたよ。日向が最優秀賞だったみたいだね。すれ違った時に目が合ったんだけど、なにも言わずにきちゃった。わざわざおめでとうなんて言わなくてもいいかなって。だってあんなクオリティの作品、一番じゃなきゃおかしいでしょ」
「……先、輩」
「言わなかったことで悔しがってると思われたかな。本当は悔しがらなきゃいけないんだろうけど、やっぱり俺は一番を獲るより自分らしい作品を……」
「なぎさ先輩っ!」
私は先輩の言葉を遮るように声を張った。
いつもはそんなにお喋りじゃないのにどうしたんですか。なんでいつも肝心なことは誤魔化すんですか。
先輩はいつもそう。
私が想像することよりもずっと先にいて、その行動で私がどれだけ心を揺さぶられているか知ってますか。
「先輩は……葵さんを描いたんじゃなかったんですか?」
言いながら、声が詰まった。



