心にきみという青春を描く




日向くんの作品は独創的で色がカラフル。とても目を引くし色鮮やかだし、ピカソの生まれ変わりなんじゃないかって思うくらい魅力的な作品だった。


「あーあ、お前が一番かよ」

「でもすごく素敵な絵」

「そうですか?なにを描いてるか分からない絵って僕はあまり好きじゃないです」


松本先輩、詩織先輩、天音くんがそれぞれに感想を言う。皮肉も混ざっているけれど、日向くんが最優秀賞を獲ったのは事実だし高校生で一番なんて本当にすごい。


なぎさ先輩に獲ってほしかった気持ちもあるけれど、日向くんが最優秀賞をもらったことで、ふたりはまたここから切磋琢磨して絵を描いていけるんじゃないかと思う。


「んで、あいつは?」

なのに、なぎさ先輩はまだ会場に現れない。


「せ、先輩は遅刻してるだけで今回はちゃんと自分の意思で参加したんですよ!」

出品しないで首を引っ込めてる、なんて言われたことをあったので慌ててフォローした。


「知ってるよ。風の噂で聞いた」
 

日向くんは最優秀賞という大きな賞をもらったのに、なぎさ先輩がコンクールに参加したことのほうが嬉しそうだった。


お祝いの言葉を言おうとしたのに、なにやらカメラを持った大人たちがぞろぞろと日向くんの周りを囲みはじめてしまった。


きっと日向くんはこれを機に有名になってしまうだろう。高校生で一番なんて、周りが放っておくはずがない。


でもひたむきに描き続けてきた日向だからこそ獲れた賞だと思う。直接言うことはできなかったけれど、私は心の中で彼に向けて『おめでとう』と、伝えた。