スマホを確認しても先輩からのメッセージは届いていない。まだ電車の中なのかもしれない。
先輩の作品がどれだか分からないまま、私たちはフロアを歩き進める。賞がなくて落ち込んでる人もいれば、佳作とつけられた作品の前で泣いている人もいる。
なぎさ先輩はきっと葵さんのことを描いたはず。女性をモデルにした作品は複数あったけれど、鉛筆画や油絵と先輩が使う画材ではない。
なぎさ先輩の絵はどれ……?
辺りをキョロキョロと見渡していると突然、「わあ……!」という歓声が聞こえてきた。
なにごとかと視線を向けると、そこには見覚えのある制服を着た生徒たち。その輪の中心にいたのは……。
「ひゅ、日向くん?」
思わずかけた声は思いのほか響いてしまった。
「よお、芋女」
まだその呼び方をされていたことに驚いたけれど、私は日向くんの後ろにある作品を見てもっと目を丸くさせる。
日向くんが描いたであろう絵の横には大きく【最優秀賞】と書かれていた。
「さ、最優秀賞って……」
「俺が高校生で一番ってこと」
「ええっ!」
またまたフロアに声が響く。



