心にきみという青春を描く




そしてなぎさ先輩はコンクールに出品する作品を描き上げて、8月上旬に行われた選考を無事に通過した。

選ばれた作品は大きな展覧会に飾られ、そこで審査員の評価を元に賞が発表される。


結果は当日にならないと本人も分からないので、私たちは6月の美術展同様に藤田先生にも引率してもらい、会場へと行くことになった。


場所は電車で一時間ほどの国際美術館。

外観は斬新なデザインで、日本初の地下型美術館になっている。国内外からの現代美術作品はなんと7000点以上もあり、そのすべてがフロアごとに収蔵されているそうだ。


今回のコンクール作品が展示されているのは地下2階。他にも講堂やレストランなどの設備もあるので、来客数はセントラルビルの展覧会よりもおよそ三倍の人数だった。


会場に入る前から私はソワソワして落ち着かなかった。

近未来的な美術館に圧倒的されてしまったこともそうだけど、なぎさ先輩の作品がどんな評価をされるのか。果たして賞はもらえているのかどうか考えるだけで、手のひらが汗ばんでくる。

それなのに先輩は……。



「こんな日に遅刻なんて三上先輩らしいよね」

隣で詩織先輩が苦笑いを浮かべていた。