心にきみという青春を描く




先輩は日向くんと話し合えた翌日、美術室に置いてあった青いひまわりを自宅へと持ち帰った。

家で続きを描いているのか、それとも大切に保管しているのか、私は知らない。

少なからず気持ちの整理がついたことで、消化できない想いをぶつけていた絵を描かなくてもよくなったんだと、勝手に解釈をしていた。
  

たぶん、一区切りついたからこそ先輩は大切な人の絵を改めて描きたいのだと思う。

それは青いひまわりという形ではなく、先輩が得意としていた人物画で。


私は幼いから、やっぱり少し胸がチクリとしてしまうけれど、先輩を想う気持ちは変わらない。


「完成した絵を楽しみにしてますね」

私がそう言うと、先輩は嬉しそうに笑ってくれた。


夕焼けはちょうど先輩への恋心を自覚した日と同じとまと色だった。

あの時はこんなにも苦しくなったり切なくなったりするなんて思わなかったし、先輩の心に大切な人がいるなんてことも想像していなかった。


私は葵さんがどんな人なのか知らないけれど、先輩が描いていた青いひまわりのように透明感があって堂々としていて、凛とした女性だったのだろうと思う。


先輩の大切な人を、私も大切にしたい。

そんな風に思えるまでもう少し時間がかかってしまうかもしれないけれど、完成を楽しみにしてると言った言葉に嘘はなかった。