心にきみという青春を描く




次の日。私は支度をして早めに家を出た。学校に着くとグラウンドでは運動部員たちの声が響いていた。

そんな緑色のフェンスを横目に、私は校舎へと入る。いつも騒がしい昇降口や廊下は静寂に包まれていた。


私は教室には向かわずに、足は美術室の前で止まった。

……この時間に来たのは久しぶりのこと。

開いているか分からないドアに手をかけると、ガラッとすぐに簡単に右に滑った。


もしかしたら、と思って中を覗いたけれど、そこには誰もいない。きっと昨日最後に部屋を出た天音くんが鍵を閉め忘れたのだと思う。


……私は、なにを期待してこんなに朝早く美術室に来たんだろう。


――『俺はなつめと話すことはないよ』

はっきりと言われたはずなのに、私はやっぱりなぎさ先輩とふたりで会いたいし話したい。


私はゆっくりと中に入り、先輩がいつも定位置としている窓際のほうへと歩き進めた。

空気中と混ざり合うようにして輝く埃や不揃いに並ぶ石膏像に絵の具の匂い。全部いつもどおりの美術室だけど、先輩がいると期待した私の気分はかなり落ち込んでいた。


視線の先には裏返しにされた画板。それをくるりと表返しにすると、色鮮やかな青いひまわりが瞳に映った。


先輩の心の中心にいる葵さん。

正直、悔しいほど羨ましい。