心にきみという青春を描く



「羨ましい?」

「すごく」

私がもう少し弾けた性格だったらなにか違っただろうか。正解が分からない。


「私はお姉ちゃんのほうが羨ましいけど」

「え?」

聞き間違いかと思って私は聞き返す。


「だって私、本気で人を好きになったことないもん」

そう言ったあと、「じゃあね」と出掛けていった。


すずめとは姉妹だけど、あまり深い話をしたことがない。近い関係だからこそ、聞きづらい部分もある。生意気だけど家族だし大切な妹だと思ってる。


同じ妹を持つ身として、日向くんも同じだったのかな。

こんなことを想像してはいけないけれど、もし私が日向くんの立場だったら?

妹が私の友達をかばって事故に遭ってしまったら?

私は日向くんのように許せないと思うだろうか。


不注意とはいえ防げたはずの事故を目の当たりにして、葵さんが弱っていく姿を傍で見てしまった日向くんの気持ちは計り知れない。

でも、それはなぎさ先輩も同じ。

私はきっと先輩を責めることはできないと思う。


でも、日向くんははっきりと許してないと言った。でも、〝許さない〟と〝許してない〟は意味が違う。


もし日向くんの怒っている原因が事故以外のことだとしたら……って、私はなにを考えているのだろう。


先輩の過去にも日向くんとの友情にも私が入っていい理由はない。

どこにもないから、先輩とは特別な関係なんてなにもないと実感してしまい、虚しくなる。