心にきみという青春を描く




「……私、先輩の優しさに甘えてたのかも」

ぽつりと呟いたあと、スカートの裾をぎゅっとした。


どんなことをしても広い心で受け止めてくれるから、好きだって言ったあとでも、今までどおり話したり笑ったりできると思ってた。

でも考えてみたら私は振られたわけだし。好意がある人に優しくし続けるわけがないのに。


これは、諦めてというサイン。


先輩は過去の話をしてくれた。嘘偽りなく全部話してくれた。それだけで十分じゃないの?

私はこれ以上、なにを求めてるの?

先輩の優しさに甘えて、私の気持ちが贅沢になっているだけだ。


「らしくないね」

私の気持ちを跳ね返すような天音くんの言葉。


「月岡さんは頭でごちゃごちゃ考える人だけど、最後は考えていたことなんて全部ふっ飛ばして身体が勝手に動く人だと思ってたよ」

そう言って用具入れをパタンと閉める。


「実際に僕の時もそうだったでしょ。僕がお金を取られてるの知ったら首突っ込んできて、なんで助けるんだって言ったら本気で怒ってくれた。そういうところ、月岡さんのいいところだと思ってたんだけど、違うの?」


漫画以外に興味がなかった天音くんが、私を叱ってくれている。じわり、じわりと目頭が熱くなっていく感覚。


「違わない」

私は自慢できることも得意なこともないけれど、なにがあっても関わっていきたいと思ったのは美術部のみんなに出逢えたからで。

諦めたくないと思えたのは、なぎさ先輩を好きになったからで。

みんなに教えてもらった感情を大切にしたいと思う気持ちは誰にも負けない。