心にきみという青春を描く




「向こうに丘があるみたいだから行ってみよう!」

葵はパシャパシャとスマホで写真を撮りまくっていて、なんだか小さな子どもみたい。

「あいつ本来の目的、忘れてんだろ」

「まあまあ。楽しそうだからいいじゃん」


まだインスピレーションは湧いてこないけれど、俺は根っからのインドアだから連れ出してもらわないとこういう場所には来る機会はない。


「あとはふたりで回れよ」

日向は葵が言っていた丘ではないほうに歩いていく。


「え、一緒に来ないの?」

「あいつもお前とふたりきりのほうがいいだろ。なんかあったらスマホに連絡して。じゃ」

そう言って颯爽と日向は迷路のように入りくんでいるひまわり畑の反対側へと消えた。


「あれ、お兄ちゃんは?」

日向がいないことに気づいて葵は周りをキョロキョロとしている。


「あとはふたりで回ってだって。優しいよね」

日向はつねに葵のことを一番に考えてる気がする。


「涼しい場所に移動したかっただけじゃないかな」


でも残念ながら葵には伝わってないみたいだけど。葵のリクエストどおり丘にのぼった俺たちはふたりがけのベンチへと腰をおろした。

高低差があるおかげかひまわりがより見渡せるようになり、どこに目を向けても鮮やかな黄色が瞳に映る。


「はあ、気持ちいいね」

葵は吹き抜ける風を全身で感じていた。