心にきみという青春を描く



そして週末。待ち合わせの駅に行くとすでに葵と日向が待っていた。 


「先輩ー!」

俺の姿を見つけると葵は大声を出して全力で手を振っていた。今日も元気だなあ、と和みながら、隣では日向が明らかに不機嫌だった。


「つーか昼過ぎから行っても十分見れるだろ」

どうやら待ち合わせ時間が午前中だったことに腹を立てていたようだ。


「早く行ったほうがたくさん見られるでしょ!ほら、お兄ちゃんは今日私の保護者なんだから前歩いて」

「ちっ」


日向は文句を言いながら駅の中へと入り、乗る予定の電車まであと五分ほど。葵は背中に大きなリュックを背負っていて、きっとたくさんのお菓子を詰めてきたに違いない。

俺は一応、スケッチブックと筆と水に濡らすと絵の具になる水彩色鉛筆を持ってきた。


そのあと無事に電車に乗ることができた俺たちは並んで座り、乗り換えありの一時間半の間、葵はずっと喋っていた。


電車の揺れが心地良すぎてウトウトしはじめてきた頃、「先輩、なぎさ先輩!」と痛いくらいに肩を叩かれて、葵が窓の外を指さしている。


振り返ると、そこには一面のひまわり畑。

最寄り駅からすぐだと本に書いてあったけれど、まさか電車の中で見られるとは思ってなかった。


「すごい、すごい!お兄ちゃんも見て!」

「見てるよ。痛てーよ」


葵は同様に日向の肩を叩きながら興奮を抑えられない様子。電車が止まり駅に着くと葵は駆け足でひまわり畑へと向かった。


「うわあ……!」

広大な敷地には種類の違うひまわりが咲いていた。まるで黄色い絨毯(じゅうたん)が敷いてあるみたいで、本当に綺麗だ。