「し、失敗したらすいません」と、私はおそるおそる柵へと足をかけた。
「顔面血だらけになっちゃったりして」
「不吉なこと言わないでくださ……わっ!」
門を乗り越えようとした時、ズルッとバランスを崩してしまい身体はそのまま落下。
怖くて目を瞑ると、先輩に優しく受け止められて、背中に回された腕が熱かった。
「セーフ。血だらけにならなくてよかった」
抱きしめられながらニコリとする顔は可愛いけれど、力強い手は男らしくて、頼もしい。
「……ありがとうございます」
私はお礼を言うのが精いっぱい。まだ心臓が鳴りやまない。先輩の胸の中は心地よくていい匂いがして、この瞬間にも想いが募っていく。
先輩はそのあとスタスタと校舎に向かって歩きはじめた。
毎日通っている学校が夜というだけで別の場所のような気がして、自然と背中が丸くなる。
……ガラッ。
先輩は迷うことなく東側の窓に触る。すると、あっさりと開いてしまい、そこから再び足をかけようとしているので、私はパーカーの裾を引っ張った。



