それから数日が過ぎて、美術展に向けての作業をみんなが進めていた。
「ねえ、三上先輩、なにかに取り憑かれたのかしら」
詩織先輩が様子を伺うように視線をなぎさ先輩へと送る。
先輩の横にはなぜか真っ白なキャンバスがいくつも積み上がっていた。筆でなにかを描く動作はしてるものの、キャンバスにはなにも色がついていない。
「かもな」
「ああいうのは放っておくのが一番だと思います」
松本先輩と天音くんが続けて返事をする。
窓の外をぼんやり見つめるだけのなぎさ先輩も心配だったけれど、今は別の意味で気になってしまう。
だってひたすら同じことを繰り返して、終わったと思えばまた新しいキャンバスに手を伸ばす。
先輩の周りにあるキャンバスは何枚になっただろう。おそらく10枚は軽く越えている。
先輩の奇妙な行動に首を傾げながらも、邪魔するなという空気が伝わってきているので、私も自分の作品作りに集中することにした。



