心にきみという青春を描く




「……描かなくなったって、どういうことですか?」

「正確には描くものが変わったって言ったほうがいいのかな。昔の先輩は人物画が得意だったのよ。モデルにした人の良い部分を切り取ったように繊細で暖かい絵を描いてた。でも今は……あの絵ばっかり」


あの絵とは、青いひまわりのこと。

先輩の部屋にはたくさん絵があったけれど、たしかに人物画は一枚もなかったし、私は先輩が青いひまわり以外の絵を描いてる姿を見たことがない。


「私が最後に三上先輩の人物画を見たのは、中学の全日本のコンクールの時。ほら、あの人も言ってたじゃない。先輩が女の子の絵を描いて最優秀賞もらったって。実は私も出品してたから会場に行ってたのよ」

「………」

「でも先輩は表彰式には来なかった。それから時間が過ぎて私は成南に入学して、美術部に先輩がいた時は驚いた。でも私が会った時にはもう今の先輩で、繊細な筆使いも心を切り取ったように描いていた人物画も描かない人になってたよ」

詩織先輩はそう言って、残念そうに眉を下げる。