心にきみという青春を描く




「わあ、小川も流れてるんですね!」

緑豊かな森林の中にはバーベキューや花火ができる施設や、子どもたちが遊ぶアスレチックなどもあった。


「釣りもできるって案内板に書いてあったわよ」

私は詩織先輩と一緒に行動していて、男子たちは反対側にある丘のほうへと行った。


「すごいですね。私、こういうところに来たの初めてです!」


私たちはそのまま川の近くにある石段に座り、持ってきた画板を膝の上に立てる。クリップで留められた水彩用紙はまだ真っ白で、美術展に向けてなにを描くはまだ決まっていない。


「先輩はどんな絵を描く予定ですか?」

「うーん。せっかく合宿に来たんだし、こういう森林の風景でもいいかなって考えてるけど」

詩織先輩は画板の他に木製のケースを持参していて、その中には水彩絵の具やえんぴつ、筆やパレットなどが入っていて、まるで宝石箱みたい。


「美術展って、紙のサイズとか決まってるんですか?」

私はとりあえずインスピレーションが湧くように、下流に沿って流れる小川をさらさらと鉛筆で描きはじめた。


「決まってるところもあるけれど、今回のは自由みたいよ。絵葉書を出品する人もいるみたいだし」

「そうなんですね。先輩はキャンバスですか?」

「うん。その予定。やっぱり出品するからには目に止めてほしいし、キャンバスは色が映えるから遠くからでも目立つでしょ。なつめちゃんもキャンバスにしたら?初めて描いた絵もすごく上手だったよ」


デザイン科の人にもらったキャンバスには、以前スケッチした桜を見ながら描いた。筆に水を含みすぎて表面が凸凹してしまった箇所もあるけれど、キャンバスにはまた挑戦したいと思っていた。