心にきみという青春を描く







そして土曜日。待ち合わせの時刻の9時に合わせて行くと、すでにバス停には私以外のみんなが集まっていた。

手荷物はいつも使っている学生カバンのみで、着替え以外のものは全てログハウスに揃っているとのこと。


「それ、なんですか?」

挨拶も早々に、とても気になるものを松本先輩は持っていた。その手には細い管のようなものが大量に束ねられていて、先端には蛍光色のカラフルな風船が付いている。


「ああ、水風船。一気に100個作れるやつ」

「100個ですか?」

どうやら海外の玩具のようで、蛇口やホースをセットすれば管から先端の風船へと水が流れて、膨らんだ水風船は重みによりボロボロと管から外れる仕組みらしい。


「天音に当てて遊ぼうと思ってさ」

「は?僕が隠キャだからって運動音痴だと思われては心外ですね。全部全力で避けますよ」

なんだかんだ言って天音くんはすでに楽しそうだし、デッサン用のスケッチブックもしっかりと持参してきていた。


「こら、遊びに行くんじゃねーぞ。ったく。ガキはすぐにはしゃぐから面倒なんだよ」

先生とは思えない発言をしている藤田先生が一番遊びに行くような服装なことは、あえて誰も突っ込まない。

そんなみんなの輪の中で、ぼんやりとしているなぎさ先輩を見つけて私は近づいた。


「お、おはようございます」

「うん、おはよ」

先輩から不機嫌さは感じずに、すぐに返事をしてくれた。


「黒色のパーカー似合いますね!」

なんとか話を繋げたくて、私は見たまんまのことを言う。


「んーそう?でも笹森に黒は一番虫が寄ってくるとか言われたからすでに帰りたいけどね」

「大丈夫です。私、虫除けスプレー持ってきました」

「本当?あとで貸して」

「もちろんです!」

ああ、よかった。心配していたけれど、今日はいつものなぎさ先輩だ。