「そういうのって普通1か月くらい前に予定立てるもんでしょ。どんだけ俺らのこと暇だと思ってんすか?」
「本当にそうね。日帰りならまだしも泊まりなんていきなりすぎるし、わざわざ合宿に行かなくても絵は描けます」
松本先輩と詩織先輩の反論に、先生は深いため息をつく。
「だからこっちだってバスで30分程度の宮ノ森を選んだんだよ。ほら、6月にアレがあるだろ。なんだっけ、一般公募の美術展。みんなにはその公募に応募してもらおうと思ってる」
どうやらその美術展は年齢制限などはなく、誰でも自由に参加できるとのこと。
出品した作品は大きなセントラルビルのエントランスに全て飾られて5日間の展覧会が開かれるらしい。そこで優秀な作品には賞も貰えたりするみたいだけど……やっぱり色々急すぎる。
「なんで応募しなきゃいけないんですか?」
漫画家志望の天音くんが一番イヤそうな顔をしていた。
「なんで?そういうところに応募して色んな人に自分の作品を見てもらうためだろ。美術展なんて年に数回しかないし、たまには応募するための作品を描いても面白いだろ?」
……たしかに、私たちはいつも美術室で好きな絵を描いているだけだし、知らない人に作品を見られることは緊張するけれど、展覧会に自分の絵が飾られることを想像したら、ちょっとワクワクしてきた。



