「いや、なんていうか……ほら、詩織は頭がいいでしょ?だからもう少し物分かりがいいと思ってたからさ……」
頭がいい?物分かり?村尾さんの言っている意味が理解できずにいると、なぎさ先輩がぽつり。
「つまり口では一緒になると言ったけど実際にはムリなことだから、現実的に考えて笹森が察していると思ったってことですか?」
店内がシーンと静まり返る。そして……。
「やっぱり三上くんは勘所がいいね」
その瞬間、ぷつりと私の中でなにかが切れた。
「なにそれ。じゃあ、なんのために詩織先輩と付き合ってるんですか?」
詩織先輩は中途半端な気持ちじゃない。ちゃんと覚悟だってあるし、村尾さんとなら地獄にさえ落ちてもいいと思うほど真剣なのに。
「なんのため?なんのためでもないよ。普通に楽しい時間を一緒に過ごしてるだけ。でも俺は家族との時間もあるから、その妨げにならないように、ちゃんと半分ずつ詩織とは付き合ってるつもりだよ」
……半分ずつ?ふつふつと沸き上がってくる怒り。私が言い返すよりも早く、松本先輩が村尾さんに詰め寄った。
「は?ふざけんなよ、てめえ」
私は止めなかった。いや、止められないほど先輩も怒っていた。



