心にきみという青春を描く




「意地張らないで松本先輩も一緒に行ってきたらよかったんじゃないですか?」

今だって、ふたりの姿を目で追うように外を見ているし。


「いや、俺、店番あるし」と、先輩は画材を触りながら仕事をしてるふりをする。一方のなぎさ先輩は相変わらずマイペースで、まだスクリーントーンの柄を確認しては戻す作業をしていた。


「天音くんのように漫画も描くつもりですか?」

「はは、違うよ。色んな種類があるなって見てただけ。だってほら、唐草模様とかなにに使うんだろうって見てるだけで面白くて」


私も漫画の知識はないけれど、トーンは印刷された粘着フィルムのようなもので、天音くんがよくカッターでキャラクターの洋服や髪の毛に切り抜いて使っている。


「唐草模様……風呂敷とかじゃないんですか?」

「え、風呂敷が出てくる漫画なんてある?」

「あるでしょう。それに今は唐草模様のお弁当の包みもあったりしますよ」

「なんか塩むすびが三つ入ってそう」

「なんですか、それ」と和んだところで、お店のドアが開いた。松本先輩が店番らしく「いらっしゃいませ」と声を出すと――。


「あれ、きみたちは……」

お客さんは爽やかな白地のTシャツにデニム姿。眼鏡の奥の瞳はとても驚いた顔をしていて、それはなんと村尾さんだった。

店内の雰囲気がざわっとしたのは気のせいじゃない。