もしかしたら廊下を歩く先輩をどこかで見ていたのかもれない。たしかに先輩は目立つし、女子から人気があるのも分かるけど、このタイミングで囲みにこなくても……。
「身長なんセンチありますか?」
「……えっと、178、かな」
「顔めちゃくちゃ綺麗ですよね!模写させてください!」
「いや……」
連絡先を聞かれるのではなく、模写させてほしいというところが美術予備校だなって感じだけど。ここにいる人たちは学校の女子たちとは違うオシャレさがあり、みんな自分の個性を持っていて可愛い女の子ばかりだ。
……私ももっと洋服に気を遣ってくればよかった。
ただでさえ地味なのに、こんな華やかな人たちばかりだと、本当に私って影が薄くて無個性だなって実感してしまう。
先輩の質問攻めが終わったのは、お昼休みが終わってから。「また来てくださいね」と、手を振りながら女子たちは各々の教室へと戻っていった。
「先輩、モテすぎです」
私は深いため息をつきながら言った。
「ん?話しかけられただけだよ」
「それをモテると言うんですよ!」
「ふーん」
先輩は本当に自分のポテンシャルを分かってなさすぎる。
まあ、そういうことに興味がないのが唯一の救いだけど。……いや、それもどうなのかな。
下心があって近寄っても、見向きもされずに弾かれる。
私は同じ学校、同じ部活の後輩というだけで、立場は群がっていた女子たちと一緒だ。



