心にきみという青春を描く




そのあとはお昼休みになり、静かだった校舎が一気に騒がしくなった。

学校とは違い外に出ることも自由なので、お財布を片手にランチしに行く生徒たちもいる。そんな人たちを横目に、私は休憩スペースにある自動販売機で飲み物を買って、椅子に座っていた。


「先輩、大丈夫ですか?」

テーブルを挟んで正面に座るなぎさ先輩に問いかける。


松本先輩は彫刻科がある三階へと行き、詩織先輩は村尾さんと水彩コースがあるデザイン科へと向かっていった。


「大丈夫って?」

先輩は私と同じ清涼飲料水に口をつける。


「さっきの、その……」

「ああ、中学の話?まさか覚えてる人がいるなんてビックリだよね」


先輩は自分のことなのにあまりに他人事のような口調だった。

空元気とはこういうことを言うんだろうか。平静としているけれど、心ここにあらずという感じが伝わってくる。


「コンクールとかに応募していたんですね」

たしか高校でも美術のコンクールが定期的にあると聞いた。

小さいものから大きいものまで大会は様々だけど、村尾さんが話していた全国での最優秀賞はすごいことだって私でも分かる。


「まあ、そういうのにハマってた時期もあったからね」


コンクールを総なめにしたということは、きっと数々の賞状を持っているはずだけど、先輩の部屋には一枚も飾られていなかった。