心にきみという青春を描く




先輩はやっぱり私服もゆったりとしたパーカーだった。

下はカーキ色のズボンで、靴は星マークのハイカットスニーカー。シンプルなのに、どうしてこんなにもカッコいいのだろう。私がますますちんちくりんに思えてくる。


そのあと詩織先輩を先頭に私たちは目的地へと向かう。美術予備校は駅から徒歩で五分ほどの距離にあり、あっという間に立派な建物が見えてきた。


「わあ、ここですか?」

美術予備校は三階建ての建物で、屋上には庭もあるのか、草木が下から確認できる。

高校受験の時に予備校に短期で通っていたことがあったので、勝手に雑居ビルのイメージがついていたけれど、本当に学校の校舎ぐらいの敷地でビックリした。


自動ドアで中に入るとすぐに受付があり、先輩は慣れた様子で「見学の者です。村尾さんを呼んでいただけますか?」と、お姉さんに伝えていた。

あまり詳しくは聞いてないけれど、おそらくここに詩織先輩の知り合いの人がいる。

そうじゃなきゃ、いきなり見学なんてできないだろうし、ここへの出入りも何回かしている雰囲気だ。


「松本先輩、なに見てるんですか?」

いの一番にはしゃぎそうな先輩が珍しくなにかを真剣に見ていた。


「ああ、芸大のパンフレット」

入り口付近に並べられた数々の案内書。


そこには東京藝術大学からはじまり、多摩美術大学、武蔵野美術大学と都内近郊から、金沢美術工芸大学に京都市立芸術大学、愛知県立芸術大学。

その中には沖縄や北海道の大学もあり、こんなに美大、芸大が多いことに驚いた。