好きな人の言葉一つ一つに、こんなにも胸が詰まる思いをしなければならないなんて。



きっと、この世に神様なんて存在はいやしない。

それか、私には恋愛の神様はきっと背中を向けてばかりいるんだ…。


私は溜息を吐いてから、私からの言葉を胸に意気揚々として教室を出て行ってしまった彼の…残像を虚ろな目で眺めてた。


「菜央(ななか)先輩の事好きとか……知ってるし…」


今更じゃん、そう思う。
あれだけ優し気な顔をして、彼女のことを話すのだから。

視線がいつも彼女を追っていることを知っているのだから…。


「ずっと隣で見てきたんだもん、そりゃ分かるよ…」


きゅうっ


一文字に結んだ口唇。
少し血の味が、した。