1人いない場所なら特にそうだ。


いない相手の悪口を言う時もある。


それが普通だと思う。


「使う?」


あたしは小声で真弥にそう聞いた。


きっと、ここにいたのが初美だったとすれば、初美に同じ事を聞いただろう。


「使ってみようか」


真弥がニヤリと口角を上げてそう返事をした。


あたしはポケットから小瓶を取り出した。


初美は飲みかけのお茶を机の上に置きっぱなしにしている。


あたし達の事を信用しきっているのだろう。


さっきまで友達だった子が、自分の言いなりになる気分ってどんなのだろう?