学校に戻ると、僕は昇降口の窓を割って校舎の中へ忍び込み、美術室に向かった。 消灯された校舎の中は真っ暗で、唯一、窓からの星明かりが中を照らしていた。 「あった。彼女の絵…」 美術室に入ると、彼女がいつも使っていた画板の上に、あの少女の絵が置かれていた。 「ひどいな。誰がこんなことをしたんだろう?」 朝見たときは、なんともなかったはずだったが、絵にはなぜか、バッテンで切り裂かれた跡がついていた。