僕もまた、子猫を撫でるように彼女の髪に触れた。
「僕がいるのに?」
僕は彼女の顔を見つめながら言った。彼女は僕の言葉に、少しだけ表情を雲らせた。
「うん。ごめん。でも、あなたが私にとって一番大切な人だってことは、絶対、変わらないから……」
「そっか……」
どうやら彼女は、まだ、あいつらと和解ができると信じているようだった。
僕も彼女も、あれだけあいつらに傷つけられたのに。彼女はまだ、あいつらと仲良くなれることを期待をしているのだ。
僕には、そんな彼女が本当に純粋に思えた。
そして、哀れで、どうしようもないくらい弱くて、小さな存在に思えたのだ。
そう、例えるのなら、
親を失った白い子猫のように……。



