この日、彼女がどんないじめにあったのか、どうしてあんな姿になったのか、僕はその真実を知らない。
しかし、それが理性を持った人間が行うものとは思えないほど、鬼畜な行為であったことは容易に想像ができる。
僕は、この時ほど激しい怒りを覚えたことはない。
自分に対して、どんないじめにも耐えてきた僕も、この時だけは、どうしても自分の感情をコントロールできなかった。
「おまえらはついに、やってはいけないことをしたな……」
僕にとって、この世界で最も大切な存在を。
僕の大切な彼女を傷つけ、貶し、汚し、壊した。
僕は、準備室で手にした彫刻用のナイフを持って、クラスの飼育小屋に向かった。



