あれがある限り、彼女は学校へ、あの地獄へと自ら何度でも飛び込むのだろう。
例え、どんなに辛いいじめが待っていようとも。
だが、もし仮に、あの絵を僕が破り捨てて、コンクールを断念させたとして、
果たして彼女の持つ他者への……
クラスメートへの期待は完全に消えるのだろうか。
「きっと、それはありえない……」
おそらく、彼女がまだ、あいつらと友達になりたいと思っている限り、彼女は、何度でもまた、同じ理由で絵を描き続けるだろう。
「そうする限り、彼女は何度でも傷ついていく。
そして、その期待が最終的に裏切られた時、彼女は一体、どうなってしまうんだ……」
僕がもっとも恐れていることは、あの純粋な笑顔が二度と戻らないくらい壊れてしまうことだった。
僕は守りたかった。僕が愛した等身大の彼女を。
僕の中で何かが動き出そうとしていた。
それは、ずっと僕が押し込めていた、僕の持つ、精神的な衝動のようなものだった。



