僕からすれば、それはあまりにもあり得ない期待だった。 例え、絵が完成しようとも、どんなにすごい賞を取ろうとも、あいつらは彼女へのいじめを止めることはないだろう。 あいつらはただ、彼女を楽しみで弄んでいるに過ぎないのだから。 何度も他者に期待し、その度に裏切られてきた僕には、そんな簡単なことはすぐに分かった。 でも、彼女は、なぜだろうか。 彼女も同じくらい他者に裏切られたであろうのに、なぜ、彼女は、まだ他者に何かを期待するのだろうか。