「谷口。僕はもう帰るから、うさぎと遊んだあと鍵だけ閉めて先生に返しておいてくれよ。

もし、開けっぱなしにして、いたちでも入ってきたら、うさぎは殺されてしまうだろうから」

言いたいことはいくらでもあったが、僕はそうだけ言い残して飼育小屋を立ち去った。

これ以上、谷口と言い争ったところで無意味だと僕は思ったからだ。

谷口は僕が去ったあとも、飼育小屋でうさぎと戯れていた。

彼女には残酷なことができるくせに、うさぎには、小さな子供を相手にするように愛情を持って接する。

恐ろしいほど歪んだ人間のエゴだ。