「だってあいつ、普段は誰ともしゃべんねーし無口だろ? だけど、あいつはいじめられて泣きそうになると、急に『ひっ』て声を上げるんだ。 すんげぇ高い声! それが超おもしれえんだよ」 「………」 僕は、口を一文字に固めながら谷口の言葉を黙って聞いていた。 下らない…。 なんて下らないことを…。 僕には信じられなかった。 その程度の小さな差異は、誰にでもありえる何気ない個性だと思えないのだろうか?