『にゃあ、にゃあ』

凄惨な事故の中、幸いにも子猫の方は無事だった。

母猫の死体をペロペロとなめながら、

動くはずのない母猫のまわりを悲しそうに歩く。

『可愛そうに。

この子には、もう守ってくれるものがいないんだ……』

僕は子猫が無性に哀れに思えた。

気がつくと僕は、何時間か町を散策して、道に咲く花を集めていた。

そして、それを母猫の身体いっぱいにたむけると、

僕は今だに母猫の側を離れようとしない子猫を抱いた。

『君は、僕が守ろう。

これからは僕が君を大切に育てるからね』

子猫は最初、僕をひっかいてひどく抵抗してきた。

僕はそんな子猫にこっそりと家から持ってきたミルクにベーコンを入れてあげた。

すると、子猫はおいしそうにミルクを飲んで、僕に向かって嬉しそうに鳴いた。

それから僕が子猫の頭をなでると、子猫は僕に甘えたような声を出した。

『お母さんに頼んでみるよ。

君を飼いたいって……』

僕は家に帰って、お母さんに子猫についてお願いした。

どうしてもこの子猫をひとりぼっちにはできなかったのだ。

しかし、