だが、僕からすれば、生の終わりは彼女にとって決して悲劇的なものではない。
むしろ、喜ばしいものだ。
そもそも僕には、生に関する拘りはないのかもしれない。
何よりも、彼女はクラスメート達への期待を裏切られることのないまま、この世界から離脱することができた。
少し考えればわかる話だ。
彼女がその、純粋な期待を持って絵を完成させ、それでも、彼女の期待通りにあいつらが彼女を認めなかった時、
彼女はどれほどの絶望を味わうことになるのだろうか。
きっとそれは、彼女の持つ純粋さを、彼女の最も大切な個性を失うことになる。
もはやそれは、僕にとって、彼女が彼女ではなくなることに等しい。



