結局こんな風に思われちゃうんだったら、我慢も何も、する意味なかったんじゃないの。

いい人じゃないよ。真面目とか、穏やかとか、みんなそう言うけれど。私、全然上手くできてない。
みんなに好かれたいだけ。特に秀でた部分もない。つまらない、面白くない、そう言われるのが怖くて、便利屋を買って出てるだけ。

大好きだった人たちにも見放されてしまったら、私は一体、どうやって頑張ればいいんだろう。


「意味なくなんて、ないよ」


小さいけれど、芯のある声だった。

顔を上げる。坂井くんは変わらず私を見据えていて、まるで自分が非難されたかのように、辛そうに顔をしかめていた。


「そんなことない。白さんが頑張ってるの、知ってるよ。いつもみんなのために考えて動いて、本当にすごいと思ってる。少なくとも、俺はそう思う」


冷え切った心臓が、少しずつ温まっていく。
すごいよ、偉いよ。そう繰り返す坂井くんに、拾い上げてもらったような心地だった。

さっきまで散々泣いていたのに、また涙腺が緩んでくる。唇を噛み締めて、溢れないように必死に堪えた。


「……もう、誰を信じていいのか、分からなくなっちゃうよね」