どこか冷めていて、完全に諦めきった孤独を映した瞳。
ああ、きっと私と同じだ。そう思った。


「狼谷玄くん、だよね?」


虫の居所が悪ければすぐに手を出し、関係を持った女の子は数知れず。
そう噂されていた彼は、実際に対峙してみると、ただの「男の子」だった。

私は、ただ気持ち良くなりたかったんじゃない。好奇心旺盛だったからとか、年頃だからとか、そういうことでもない。
そうすることが、一番温かみを感じられると、本当に思っていたんだ。

同情するなら金をくれ、とはよく言ったものだと思う。
周りの大人はみんな、私のことを「可哀想」、「何とかしてやりたい」だなんて口先では言っていたけれど、手を伸ばしてくれた人はいなかった。面倒事に巻き込まれるのは御免、とでも立証しているのか。結局人間誰だって、自分が一番可愛いんだ。


「……あのさ」


ベッドの上。寝転んだ彼が口を開く。


「俺、あんたのこと何も知らないんだけど。理由くらい教えてくんない?」


そう問う彼の目は、学校ですれ違い様に見た時と比にならないくらい、生気がみなぎっていて綺麗だった。
見惚れていると、目の前の端正な顔が歪む。


「ねえ。聞いてんの」